第88章 テスト用紙を持ってこい! この場で解かせろ!

彼女には、どうしても信じられなかった。

橘結衣が――カンニングだなんて。

成績が悪いだけならまだしも、カンニング? それはもう学力の問題じゃない。人としての問題だ。

橘礼子の表情はみるみる重くなり、唇をきゅっと結んだまま、スマホを握る指先に力が入って白くなる。

「橘さん、どうなさったの?」セレブ仲間が首を傾げる。「お顔色、ずいぶん悪いわよ?」

橘礼子はそこで、隣に人がいることを思い出した。慌ててスマホを耳から離す。

――スピーカーにしてなくてよかった。

もし、この場の面々に橘結衣があんな恥さらしをしたと知られたら、どれだけ体面を潰されることか。

橘礼子は指先を握り直し、硬い笑...

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